ドロミテ

ドロミーティ-ユネスコ世界自然遺産。

2009年6月26日、ユネスコはイタリア北東部に位置する石灰質のドロミーティ山群を世界で最も美しい景観のリストへ登録しました。

これにより、国際連合は国連教育科学文化機関を通してドロミーティ独特の比類のない自然を正式に承認し、「ドロミーティの女王」と呼ばれるコルティーナの山々も世界で最も美しい山として認知されたことになります。

ドロミーティ山脈の魅惑的な世界について皆さんに語る前に、皆さんに次のことを思い出して欲しいものです。


栄氏の企画と同氏のロッククライミングへの大いなる情熱のおかげで、数年前、ロッククライミングコースを企画するのに、私は日本へ招かれました。参加者たちと話を交わしながら、次のことを知るに至りました。(イタリアから)遠く離れた国である此処日本では、ドロミーティ山脈はほとんど知られていなかったということを。そして、せいぜい(最大限)誰かがラヴァレードの3つの頂上について話すのを聞いた程度だということも。以上のことを知って、私は大いに驚きました。何故かというと、ロッククライマーだったら誰だって、少なくとも一生に一度はこの場所(ドロミーティ山脈)を訪れるべきだと私は信じているからです。
大自然の愛好者の全員がこぞって、此処ドロミーティで、世界にある他の山々とは比較にならない何かを見いだすに違いありません。
幻想的なドロミーティ連峰が、緑の牧場と、モミとカラマツの深い森から浮かび上がって来ます。太陽が地平線上の上に昇り、やがて夜明けの薄いバラ色から日没の灼熱の赤色へと、色を変えて行きます 。
良く知られた小道の目の細い網は、ハイカーたちに、難なく身体を動かし、且つ比類のない美しさを持つパノラマ(眺望)を楽しむのを可能にします。

Tofana di Rozes and lake of Limides


みんなの山

経験豊かなロッククライマー(登山家)でなくても、ドロミーティ山脈の頂上までよじ登れます。これらの頂上に「線路」と呼ばれるルートが幾つか実際に存在しています。うまい具合に金属製のケーブル(ロープ)や、つり梯子や、つり橋をつけた「線路」のルートが。この線路は大部分、第一次世界大戦のとき、ここで激しい戦闘を交えたイタリアとオーストリアの軍隊の手によって道筋を記した古いコースを走っています。

充分に訓練を受けて、クライミングの経験を最小限持っている人、引き綱(つり鎖)を装備し、ヘルメットとロープを少しばかり用意しているハイカーならば、登山の完璧な装備を必要としないで、全く無事に(安全に)道を登ることが出来るのです。ドロミーティ山岳には登山の豊富な伝統があります。ここにはアルプス山脈への有力な道の大部分を見つけることが出来ますし、ドロミーティ山岳は今日に至るまで極めて優れた(力ある)登山家たちの祖国であり続けています。ドロミーティ山岳は事実、登山家たち(ロッククライマー)にとって、本当のパラダイスなのです。私たちはここに初心者から超ベテランの登山家に至るまで、どの登山家の困難さ、手間取る煩わしさへの解決策を持っていますし、このドロミーティ山岳の中に各自の能力と必要に適合する方法を見いだすでしょう。

絶壁にある8c+の一輪車とTorri della Sella(トッリ・デッラ・セッラ:鞍の塔)の上にある第3階段の200メーターの道のどちらかを選ぶことが出来ます。
Tofane(トファーネ)の上にある400メーターから900メーターまでのラインは実に見事です。それから、日当たりが良く、非常に堅固なマルモダーラ山(Marmolda)の南壁の上、チヴェッタ(Civetta)の厳しい北壁の上の1000メーター以上の伝統的、且つ、近代的(モダーン)な道もあります。ラヴァレード(Lavaredo)のテュレ・チーメ(Tre Cime:
:三つの塔)に向かう、とてつもなく巨大な絶壁。ヨーリ・アル・モンテ・アグネル(Monte Agner – via Giliberti -Soravito) 果てしない1000メーター。

登山の半ば、ホテルかキャンプ場から出発して、昼間(日中)のうちに終了されることが出来ます。1000メーターを超える登山、或いは道の連結点(接点)が徒歩で大変長いアプローチ(接近)を要する所では避難所で、普通に睡眠を取ります。
ドロミーティ山岳には100以上の避難所がありますが、すべてとても居心地が良く、快適な山小屋です。ほとんど総ての山小屋はシャワーとお湯の設備があり、相部屋(2人部屋)か4人部屋か、或いは大部屋の設備が整っています。これらの山小屋の大部分は快適で、眺めの良い小道を通って到着します。他の山小屋はロープウエーか、或いはリフトと、そしてわずかの山小屋だけが車で到着できます。

登山道路は、ほとんどすべて既に整備されており、二つのカテゴリー(等級)に細分されています。
クラシック(伝統的)と近代的な道路に。この2つの道路の相違は、主として、これらのルートが整備されている方法にあります。


伝統的な登山道路について。

釘が時々、しっかり打っていません。既にすっと以前から登り易い道では、特にひんぱんに一つの絶壁(壁面)から他のもう一つの絶壁(壁面)の防備処置(安全保護)が非常に離れているからです。(間隔がある)釘のついていない長いロープの道を通ることも時々あります。だから登山の正しい道を突き止める際も、又、私たちの安全を保証する釘の具体的な耐久力を検討することを知る際にも、ちゃんとした敬虔(体験)が必要です。
更に岩場の性質も注意を怠らずに検討します。ドロマイト岩は、実際、大変脆いです。特に黄色の壁面(絶壁)にあるドロマイト岩は。事故などが非常に頻発した道路は、次の観点から通常安全なのです。即ち、おびただしい数の通過者たちに「踏みならされた」道である限りにおいて。

それに対して、近代的な道路については、防備処置(安全保護)は非常に接近していて、しかも安定して(しっかりして)いますし、岩場もほとんど常に強固です。この登山道路を登るには、とにかくクライミングの高いレベルが要求されます。テクニック(技術)の難しさは伝統的道路よりも完全に数段上で、トレーニング(訓練)が不可欠です。

Ferrata delle Mesules

「伝統的な道路」には、第1段階から9段階まで 行くUIAAの梯子が使われています。釘の補強が求められる(必要な)時には、前進する(前に進む)のにAからA4段階が使われます。それに対して「近代式の道路」の場合は、スポーツとしてのクライミングの場合のように4aから9aまでの段階のフランス梯子が使われます。
クライミング・スポーツ愛好者たちに(とって)は、すべてが非常に良く整備され、しかも夢のような場所にしばしば位置している絶壁には勿論不足してはいません(事欠いてはいません)。これらの絶壁のほとんど全部(全体)への接近は、歩いて(徒歩)15分以上はかかりません。これらの絶壁のうち、ある絶壁はひどく突き出ている(張り出している)ので(例えばエルトのように)、雨天の日でも梯子を掛けて登るのが可能です。
皆さんに私が提供した情報(インフォメーション)は、皆さんの旅行を計画するのに充分だと、私は信じています。皆さん、信じて下さい、忘れられない旅行になることを。
ドロミーティ山脈でのヴァカンス(休暇)はユニークで心身にも、プラス(益)になる得難い貴重な体験になります。最後に登山とこの土地(地方の)伝統を大切にすべく特に(就中)山(ドロミーティ山)を大切にすべく、これらの渓谷を訪れるすべての人を招待します。このようにしてのみ、このドロミーティ山(脈)は、あなた方皆さんにその最良のものを提供するでしょうし、皆さんのアルプス登山のキャリア(経歴)を満たすだけではなく、あなた方のハート(心)をも満たしてくれるでしょう。